「ゲームも作れないとお話にならない」と言われて作ったら、公式ゲームになった話
こんにちは、よかっぱです。
家族や仲間の間だけで通じる言葉って、ありませんか。
外の人に使うときは「あ、これはこういう意味で……」と説明がいるやつ。
で、説明した瞬間、ちょっとつまらなくなる。
最近、まさにこれで悩みました。
「もっちのロン」という言葉を、そのままタイトルにしたゲームを作ったからです。
「もっちのロン」は、ニンジャ犯科帳というアニメに出てくる、あんねという女の子の口癖です。
意味は「もちろん!」。
ぼくはこのアニメを作っているスタジオで、助監督をしています。
そのあんねの団子屋台で、団子をひたすら積み上げる1プレイ30秒のファンゲーム(非公式)を作りました。
積むほど高く売れる。でも積むほど、ぐらぐらする。
「ここでやめる」と言えたらスコア確定。
「もっちのロン!」と大見得を切ったら倍額、ただし崩れたら全部パー。
スマホでもPCでも、無料・登録なしで遊べます。
【もっちのロン!】https://ninja.yokappaworks.com/mocchi/
きっかけは監督のひとこと。そして5個のボツ
作ることになったきっかけは、監督のイケハヤさんからスタジオメンバーに「ゲームも作れないとお話にならない」みたいな話があったことです。
つくらなきゃな、と。
で、いきなりこのゲームができたわけじゃありません。
ここに来るまでに、5個くらいボツにしています。
里を歩いてキャラに話しかけるドット絵のRPG風のやつ、コイン落とし、ハリセン、サバイバー系、団子が大合体するやつ……。
作っては「なんか違う」、また作っては「なんか違う」。
つまらない理由を考えて、行き着いたのは「世界観が無いからだ」でした。
当時のポストがこれです。
ゲームのプロトタイプを5つくらい作ったけど、いずれもつまらなくてボツ。
理由を考えたら、世界観が無いからだという結論に至りました。
なので、脚本の書き方の本を読み始めました。なんかすごい足踏みしてる気分。
元のXポスト
ゲームを作るために、脚本の本。
すごい足踏みしてる気分でしたが、この回り道が効きました。
脚本の本を読む → ニンジャ犯科帳の世界観やキャラを自分なりにしっかり決める → それに合ったゲームを設計して作る。
この順番に変えてから、ようやく「出してもいいかな」というものができました。
もうひとつ、ボツからわかったことがあります。
スマホゲームは「文字を読んで理解する」じゃないんです。
やってみて「直感的に楽しい、気持ちいい」それが大事。
ボツを重ねたり、いくつかスマホゲームを自分でいじってみて、それがわかってきました。
だからこのゲームは、説明を読ませる代わりに、体験に全部乗せています。
団子が崩れそうなハラハラ感。
「もっちのロン!」を選んだ時の爽快感。
ぴったり団子を積めたときの気持ちよさ。
効果音と、イラストと、キャラの動きで、そこを重視しました。
ちなみに最初はドット絵で作っていたんですが、イラストに差し替えたら断然よくなりました。
造語も「説明せずに伝える」
タイトルの「もっちのロン」も、同じ考え方で扱っています。
犯科帳を知らない人には、意味不明の言葉です。
「もっちのロン=もちろん、の意味です」と説明文を1行入れれば、伝わりはします。
でも、口癖の解説を読まされてから遊ぶゲームは、なんかもう、面白くない気がしませんか。
出した答えは、意味は説明しない。「使われ方」だけを見せるでした。
やったことは3段階です。
まず、タイトル画面。
いちばん上に、こんな声を置いています。
「そんなに 高く積めるの…?」
その真下に、でかでかと「もっちのロン!」のロゴ。
質問への返事の位置にこの言葉が来ると、「あ、『もちろん』ってことね」と文脈が勝手に教えてくれます。
次に、ゲーム内の倍額ボタン。
倍額ボタンだけ赤にして、あんねの顔を付けました。
赤いボタンにあんねの顔。見ただけで「あの子の決めゼリフだ」とつながるようにしています。
最後に、そのボタンを押すと、団子タワーの上にいるあんね本人が「もっちのロンよ!」と叫びます。
言葉の意味を教えるんじゃなくて、その言葉が生きて使われている場面を3回見せる。
それだけで「もっちのロン!」は、遊んだ人の言葉になってくれる……はず。
キャラを「住人」にしないと、リンクは唐突になる
もうひとつ、これと地続きの話があります。
このゲーム、遊び終わるとアニメ本編への案内が出るんですが、最初の設計では、これがとってつけたみたいに唐突でした。
原因を掘っていくと、犯科帳のキャラたちが、ゲーム世界の住人じゃなかったからなんですね。
ゲームはゲーム、アニメはアニメ。世界が別のままリンクだけ貼っても、それはただの広告です。
そこで、団子の買い手を犯科帳のキャラにしました。
売ると「お客さんが 買ってくれた!」と正体がわかって、その子のひとことが付きます。
石舟斎(せきしゅうさい)なら「ええ串やなぁ!たまらんわぁ この積みっぷり」。
そのあとに「石舟斎が出てくるYouTubeアニメを見る」というボタンが出ます。
「この人だれ?」→「アニメで会える」。
この流れなら、案内が世界観の内側で成立します。
出さなくてもいいかな、と思っていた
正直に言うと、このゲーム、公開しなくてもいいかな、と思った時期があります。
完成する前に、ニンジャ犯科帳の本命ゲームの制作に着手し始めたからです。
でも、出したら、思ったより楽しんでもらえました。
と、スコア画面ごと投稿してくれた方。
『団子偏愛 伝説の事変』という称号まで獲得されていました。売り上げ1080円は、ぼくより上手です笑。
「めっちゃ楽しめました!」と言ってくれた方も、「非エンジニアでもAI使うとこのレベルのゲームが作れるのは凄い」と驚いてくれた方もいました。
そして公開の数時間後、監督のイケハヤさんから引用ポストが来ました。
非公式ファンゲームのつもりが、数時間で公式ゲームになりました。
「ゲームも作れないとお話にならない」から始まった話の、まさかの着地です。
出してよかったです。
ゲームは、プレイして爽快だったり、気持ちよかったり、というのが大事。
5個のボツの先で、それに気づくことができたゲームでした。
1プレイ30秒なので、よかったら遊んでみてください。
あんねと一緒に、大見得を切ってみてください。
【もっちのロン!】https://ninja.yokappaworks.com/mocchi/
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